空賊。

「……血を素早く止める薬と、痛みを軽減する薬をくれ。」

目立たない薬など、いらない。
スタージャたち空賊は……いや、戦人は斬られた痕が大きければ大きいほど、良いのだ。

その痕はその者の誇り。
大きければ大きいほど、その者の強さを示す。
痕の大きさで長が決まる賊もあるそうだ。

「あいよ。何個かい?」

おじさんがショウウインドウを開けながらスタージャに問う。

「……全部だ。」

「……は?ぜ、全部ですか?」

もの凄く驚いたのか……
おじさんは口を大きく開け、
飛び出してしまいそうなほど目を見開く。

「そう、全部だ。……貰えるか?」

スタージャは懐を片手で探りながら、おじさんを見据える。

「わ、分かりました。今すぐご用意します。少々お待ちを。」