空賊。

正直、うざったくてたまらない。
店先を通るたび、“お嬢ちゃん”と呼び止められるのだ。

これが、いつまで続くのだろう……
そう思ってうんざりし始めた頃、目的の場所が視界の端に入ってきた。

「……やっとか。」

そう、スタージャは小さく呟く。
何だか、もの凄く長い道程を歩いてきた気がする。

目的の場所―――そこは薬剤市場。
切り傷から毒、それから火傷まで、ありとあらゆる薬が揃っていた。

沢山の薬剤店が立ち並ぶ中、最初に目についた店に入っていく。
扉に付いている小さな鐘が可愛らしい音をたてる。

その音を聞いた店主が「いらっしゃいませ。」と、元気な声であたしを迎え入れた。