空賊。

そう言ったスタージャにブラーはブルルッと一鳴きし、瞼をゆっくりと閉じた。
それを確認し、スタージャは町の中心部に向かって走り出す。

どんどんと中心部に近づくにつれて、
人々の声は大きくなり、町は賑わいを見せる。
街中を沢山の人々が行き交い、
楽しげな雰囲気が辺りを包んでいた。

久しぶりに町へ下りたが、町の様子は変わっていなかった。

スタージャは沢山の店の前を通っていく。
ずらーっと連なる店に目もくれず、
淡々とした足取りで目的の場所に向かっていく。

……だが、店前を通るたびいちいち店主に声を掛けられるのだ。
店主はあたしが町の者ではないと気付いているのだろう。
ここぞとばかりに“お嬢ちゃん、お嬢ちゃん”と声を掛けてくる。