空賊。

毎日野良犬のようにゴミをあさり、
たった一かけらのカビが生えたパンを口にする。

泥水をすすり、喉を必死に潤すのだ。
毎日毎日、それを繰り返す。

“汚い” “気持ち悪い”
そんな言葉を体いっぱいに浴びながら、ゴミをあさる。

今日を生きる為。
希望を捨てない為。
そして……いつかは復讐してやる為。

“ドレスの色、靴の色が違う。”
そんな些細なことで生きる糧を無くしたのだから。

―――ギャーオ
ブラーが一鳴きする。
その声で、スタージャは現実へと引き戻される。

「もう着いたのか?」

辺りを見回しながらそう問うスタージャにブラーは“そうだ”と言うように鳴く。

そして町外れへと急降下していくブラー。
そのスピードはあまりに速く、
空気を切り裂くような激しい音が耳を襲ってくる。