空賊。

スタージャはブラーの背に跨り、風と共に町を目指す。

赤や黄のカラフルな煉瓦で作られた様々な建物。
家や劇場などが規則正しく縦にずらーっと並んでいる。

沢山の家が建っているが、住めるのはたった一握りの者たちのみ。
その者たちは“平民”と呼ばれ、不自由なく暮らせる金を持っていた。

しかしその生活から大きく外れ、“野蛮な盗賊”と化してしまった者たちもいる。
いや、そうなってしまった者が大半だろう。

その者たちは、貴族や王族の下で働いていたが辞めさせられたのだ。
我儘で横暴な貴族や王族のせいで、
職を失い住む場所を失い、着る物も食べる物も何もかも失ったのだ。

“王族のわたくしが言っているの”
“主人の言うことは絶対だろう”
という人の上に立つことに慣れてしまった者のせいで。

“貴方、いらないわ。”
たったその一言で何もかも失ったのだ。

どれほどの人が貴族や王族を憎み、恨んできたことだろう。