空賊。

俯いたまま、何も発することなく黙るラルク。
心の中で葛藤しているのだろう。
“行くか、行かないか”と。

「ラルク……あたしが行く。ここを頼んだ。」

そう言ってブラーの背に跨るスタージャに、“待ってください！”と引き留めるラルク。

「僕が行きます。スタージャ様はここにいてください。」

そう言って、あたしをブラーから降りさせようとするラルク。

「ラルク、町は危険だ。だから……あたしが行く。
お前を危険にさらせたくないんだ、何よりも大事なお前を。分かってくれ。」

そう言って、スタージャはラルクの手を振り払う。
行くなら、スタージャが行く。
ラルクを危険にさらせたくないから。

「スタージャ様……」

ラルクはそう呟いたかと思うと、“分かりました”と頷く。

「頼んだ。」

スタージャはそう一言呟き、ブラーに乗って町へと羽ばたいた。