空賊。

「お願いです、スタージャ様。」

そう言って再び頭を下げるラルク。
“どうしても町へ行きたい”そんな思いがありありと伝わってくる。

「……確かに薬が手に入れば良いだろう。
傷の治りも早くなる。
しかし、盗賊は野蛮だ。
もしこの場所が知られ、ぞろぞろと盗賊たちが来たらどうする?」

……今すぐ動ける者は十人しかいない。
つまり、傷がどうのこうの言っている場合ではなくなるのだ。

薬が手に入れば一番良い。
だが、最悪な事態を考えると安易に動けないのである。

長であるスタージャは“ドラゴン”を守らなければいけない。
ここには、男たちの家族もいるのだから。
女子供を危険にさらさせたくないのだ。

いや、何よりも……ラルクに危険な目にあってほしくない。

「……ですが!」

そう言って言葉を繋げようとするラルク。

しかし、ラルクも頭の悪い奴ではない。
ちゃんと、分かっているのだ。
危険だということを。