空賊。

「おい、大丈夫か？」

“うぅっ”とあまりの痛さに呻く男たちにスタージャは声を掛ける。

五十人位の空賊“ドラゴン”
その少数部隊とも言うべき“ドラゴン”にとっては、大きな痛手だ。

他の空賊では、二百は軽々と超える人数がいるらしい。
それに比べ“ドラゴン”は圧倒的に少ないのだ。

……そんな中すぐに動ける者は、自分を含めて十人も満たない。
今襲われたら、すぐに“ドラゴン”は崩壊してしまうだろう。

……どうするか。
そう、男たちの手当てをしながら考えていると
「大丈夫ですか？」と、肩を優しく叩かれる。

“ドラゴン”の中の一人であたしの忠実な部下、ラルク。

ラルクは小柄で、
ぱっちり二重の瞳の可愛らしい女の子のような面持ちの少年だった。

「大丈夫だ、ラルク。心配かけて悪かったな。」

そう言ってスタージャは笑みを浮かべる。

あたしは長なのだ。
そのあたしが部下に心配をかけてどうする？
しっかりしなくては。

自分で自分を言い聞かせる。