「そうだわ、簡単なことじゃないっ!普通に話し掛ければいいのよっ」


 どうしてこんなことにも気付かなかったんだろうーと葵は呟いている。


 ・・・貴方、今、なんて言いました?


「そんな簡単に言える訳ないじゃんっ」


 先輩はあの日から図書室に居るわけでもなく、居てもいつもふら~っと居なくなるので話し掛けられなかった。


「先輩なんだよっ?しかもそんなに親しくもないしさぁ」


「いーいーかーらー行くのっ!話し掛けてこないと一生口、聞かないからねっ」


と言い逃げして、葵は教室を出て行ってしまった。