「いいから葵、座ろう?」


 そうわたしが言うとハッとし、葵は椅子に座った。


そしてわたしに小声で問いかけてきた。


「ほ、ほんとに知らないの??」


「うん。」


少ししょぼんとして言うと、葵は考え込んだ。


「初めて葵から男の話が出たと思ったのに、名前も知らないって・・。はぁーっこれじゃぁ楽しめないじゃないっ」


 葵さん、何を楽しむんですか。


そうわたしが思っていると、ふと、葵が考え付いたように顔を上げた。