「……睦月(ムツキ)」

視線を辿ると、大きな荷物を背負った男性が、信号待ちをしていた。

「葉さん?」

表情が消え、その男性を見つめてる。

「行こう」

腕を捕まれ、元来た道を足早に歩く。

バイト先も越えたのに、歩き続ける葉さん。

「どうしたんですか!?」

答えはない。

随分歩いて着いたのは、河原だった。

対岸のずっと遠くに、観覧車が小さく光っていた。