「え?」

「どうやったら誰かを好きになれるんだろう?」

「亜実ちゃん」

「あ、すいませんっ!
変なこと言って...」

「何が好きってことかなんて分かってる人なんてそんなにいないよ。好きの感じ方は人それぞれだし…
好きってさ、考えることじゃないと思うよ」

「え?」

「自然なことだと思うんだ。
だから考えてても分からないよきっと。
ふと一緒にいて楽しい、もっと一緒にいたいって思った人がきっと自然にできるよ」

「……」

「何かあったら俺に頼ってくれていいからね?」

「先輩に?」

「そう。
正直に言うとね、亜実ちゃんのことが気になってるんだ」

「………え?」

「いつも亜実ちゃんって自然体でしょ?
そんなところがすごいなって思うんだ。
別に飾ってない、ありのままな感じ」

「?私ってそうなんですかね?」

「うん。
自然体でいるってね、簡単なようですごく難しいことだと思うんだ。
自分ではよく分からないかもしれないけど…
つまりね、もっと亜実ちゃんと仲良くなりたいってことだよ」

「それはもちろんです
でも………私…」

「別に返事とかを期待してるわけじゃないから大丈夫だよ。
亜実ちゃんのことをもっと知りたいなと思ってるだけだから。
それじゃ、また。ね?」

「え、あ、はい!」
(ん〜
直哉先輩って分からないな。
でも…)

「ゆっくりでいいんだ…」
(焦らずに私の好きを探そう)




雨の音と先輩の声が
私の頭の中で心地よく響いていた。