「京、見つかった?」
「見つかんなかったー」
私は決まりが悪そうに頭を掻いた。
燈紀に嘘をつくのは嫌だったが
さっきの事を燈紀に知られるのはもっと
嫌だったから
見つかんなかったと嘘をついた。
いつも、私を芋だとかなんだとか
言ってからかう癖に
彼女に振られたかなんか知らないけど、
私は、
そこらへんに居る女より
数百倍も尻軽じゃありませんよ
「何してんだろうな…京……」
でも、
石田が見つからないと、
燈紀の元気が出ないのは分かってる。
私が幸せになるより
燈紀の幸せを優先したい。
どうしよう……