「燈紀、委員長との話し合い
終わったの?」
燈紀は一瞬びっくりしたような
顔をしたが、
すぐにいつもの優しそうな顔に
なった。
「終わったよ、梨乃」
突然彼の口から出た、
私の名前に、どう反応したらいいのか
分からずにいた。
彼の表情はいつも話している顔と
一緒で何一つ、動じている様子は
なかった。
もしかして、いじられてる?
そう思うと少し悔しかった。
「今日、朝あんまり話せなくて
ごめんね」
「ん、大丈夫だよ。
っていうか、あの後、なんか廊下
走ってなかった?捻挫してるのに」
「あっ」
今まで忘れていた痛みが一気に
蘇ってきた。
でも、我慢すればなんとかなる程度だし、
まぁいっか。
「まあ、俺もあの後委員長と
学年の情報整理しなくちゃいけなかったから
丁度良かったかもね」
もや
あっ、まただ。
なんだろう。燈紀が『委員長』って
言う度に胸が苦しくなる。
つらい。
委員長なんて言わないで。
梨乃って言って。
