恋い焦がれ



said¨KYO

***

盗み聞きをしていた訳じゃない。
たまたま、
女子トイレの前を通りかかったら、
裕子ちゃんと芋の声がして、
偶然耳に入っただけ
だったんだ。


「私の好きな人は
伊野燈紀、です…」

それは明らかにあの
芋、八田堀梨乃の声だった。

俺は、この場所に
居てはいけないと察し、屋上前の扉に
逃げた。