私はバトンを受け取り、
出来る限りの力を振り絞って走った。
残り数mというとき――
嫌な関節の音が聞こえた。
足を捻ってしまったのだ。だがタイムロスを出すわけには
いかまいと、残りは頑張って
走りきり、バトンは
きちんと石田に渡した。
「八田堀さんっ!!」
既に走り終わっていたクラス委員長の
深雪 真南さんが私の元に
かけよってきた。
「保健室に行きましょう!
立てますか?」
私は首を横に降った。
すると体がふわりと浮いた。
「委員長、八田堀は俺が
保健室連れてくから安心して」
「い、伊野っ!!!?」
伊野は私をお姫様だっこの形で
保健室に連れていった。
