「それって
梨乃の事、好きなんじゃない?」

私は思わず吹き出す。

「それはないよ~」

私は笑いながら右手を左右に
動かすが、
それに対して裕子の目は
真剣そのものだった。

「だってさ!!
普通、好きでもない子に
これからもここで会おう、
的な事って絶対に言わないよ」
「気の合う友人なんだよ」

裕子は
本当に恋愛に疎いんだから、
などとぶつぶつ呟いている。

私はそんな裕子をよそに
走り終わった伊野をちらりと
見る。

汗に濡れた伊野は……
まぁ、まあ……か、かっこいい

もうちらりと、じゃなくて
ガン見レベルで伊野を
見ていた。