-2年前-


高校1年生の彼は
絶望の淵に居たんだと思う。


「一颯!!お〜い、一颯く〜ん!!」


遠く離れた所から
大きな声で呼び止めた。
その声の名前は龍牙<リュウガ>。
バスケ部の期待の新人だった。


「一颯久しぶりだなぁ。
高校始まって一週間経つのに
全然会わねーじゃん!!」


無邪気に話し掛ける龍牙。


「今日初めて来たから。」


心なく一颯は言う。


「・・・・。」

「・・・・。」


龍牙は一颯の肩を組み、
一颯が一番言われたくない事を
言ってしまった。


「また一緒にバスケやろーぜ!!」


その瞬間眉間にシワが寄り、
下を向いた一颯。
龍牙の手を払いのけ言う。


「俺、バスケ辞めたから。」