まだ肌寒い空気と
穏やかな春の日差しに包まれて
始業式は始まり、
高校生活最後の学年が
始まろうとしていた。


[キーン コーン カーン コーン]
「只今より、始業式を始めます。」


校門に足を踏み入れようとすると、
体育館からその
アナウンスは流れた。


「・・・・。」


その足は体育館とは逆方向の
校舎裏へと向かう。
茂みに隠れた生物室の裏に、
彼はいつも居た。
それは私しか知らない。


カッコ良くセットされてある髪に、
程よく着崩して制服を
着ている彼が私の初恋だった。