幽霊が恋人。

青い空が広がる夕方…私は慎汰の隣に座った。


明かりをつけない真っ暗な部屋に私達は壁にもたれる。






握られた手は、感覚はない。




『……夕日ってこんなに綺麗なんだな…。』

ぽつりと慎汰が呟く。

「…うん…綺麗だね。」


私も微笑む。






真っ赤な太陽が、少しずつ零れるように落ちていく。



『なぁ…琉衣は…幸せだった?』



「…え……?」


隣を見ると、慎汰は真剣な顔をしている。







『琉衣は幸せだった?』




どうして…そんな事聞くの。



まるで今にも消えてしまうかのように…









「慎汰……は?」



私は怖くて逆に聞き返した。



慎汰は目を閉じる。











『…今まで生きてきて…辛いこととかあったけど…琉衣が側にいてくれたから俺は幸せだったよ。』


「そ…んな…私は慎汰に何もしてあげられなかったのよ…?」


慎汰は微笑む。



『そんな事ないよ。俺は琉衣にはいっぱい幸せにしてもらったんだ。人を好きになるって事を教えてくれたんだ。だから言えるんだよ…“幸せだった”って…。』





…ああ…







私は涙を流す。








「“最後”…なのね…?」







慎汰は辛そうに頷いた。