彼女は予想の斜め上を行く

試合は、4対5のまま最終回である9回の裏を迎える。

しかし、ここに来て試合は再び動き出した。

只今、2アウト 2塁。

「野球は2アウトからだ!」という金本さんの言葉はなかなか当たっているようで、それはついに起こった。



バッターボックスには、勇人が立つ。

一球目は、空振り。

さすがの金本さんも一発逆転サヨナラ勝ちの可能性もある場面では、静かに………「お~。いい球だぁ」……していないな…。

二球目は、ファウルボール。

しかも、勇人の後ろ側に飛んだファウルボールは俺達の座る応援席側に飛んできた。

「長野君!とって!」

無理な注文をつける金本さんの前の席に座るおっさんが、そのボールをキャッチ。

勇人はツーストライクになり、追い込まれた。

三球目は、わざと外してボール。

だが、追い込まれていることに変わりはない。

そして、四球目。