彼女は予想の斜め上を行く



「お疲れちゃん♪」

ヒヤッとした冷たい感覚が頬に走ったかと思うと、相変わらず透き通るような声が聞こえた。

「うわっ!?」

突然の感覚に思わず、間抜けな声が漏れる。

「あっ、ごめん。そんなに驚くなんて思わなかった」

後ろには、いたずらな子供みたいな笑顔を浮かべた金本さんがいた。

腕の中には、2本の缶ジュース。

その内のどちらかが、俺の頬に冷たい感覚を与えた物だと思われる。

「はい。どうぞ?」

「あっ、ありがとうございます」

受け取りながら、そう言えばドーム入場時に買った飲み物は底をつきかけていることを思い出す。

野球にすっかり夢中かと思っていたが、気付いてくれていたのか……。

自由奔放で周りのことなんて何にも気にしていないように見えるのに、実は気遣いが出来るみたいだ。


気遣いは、嬉しくさせる。

新たな発見は、もっと好きにさせる。