こんなに颯爽と登場出来るのは、やはり大人なイイ男の余裕なのだろうか。

それとも、誰もが憧れる美女と付き合っている自信から来るのだろうか。

はたまた、ただのハッタリか?

ハッタリはないな…と考えていると。

「昨日、遅くまでごめんな?」

申し訳なさそうに謝る完璧な男。

昨夜の《牽制》や《嫉妬》の存在なんて感じさせない。

ただ、遅くまで飲みに付き合わせて悪かったぐらいなノリ。

何にもなかったことにしたいのか。

酔っぱらいには、記憶がないのか。

やっぱり鈍い俺にはイマイチ読めないから、困惑する。

「いや。大丈夫っすよ」

とりあえずは、俺も何もなかったかのように話す。

読めない俺なりの最善なる対処法。

中島先輩のスーツが、昨夜と違うことに気付いて。

金本さん家から直接の出社ではないと勝手に解釈して、安堵した。