彼女は予想の斜め上を行く

上機嫌な理由を聞き出したら、ものすごくイライラした。

勇人の話は途中、どうしようもなくツッコミを入れたくなるところがいくつもあった。

その度に『落ち着け!俺!』と、自分に言い聞かせる。

いちいち口を出していたら、話が進まない。


だから険しい表情を浮かべつつ、黙々と聞いた。

思わず出そうになるツッコミを押さえこむように、ひたすらジョッキの中身を喉に流し込んだ。

先程の決心は完璧に忘れていた。



「いくつかツッコんでも、いい?」

やっと勇人の最高にイライラする話が、終わる。

今まで溜めに溜めたツッコミを一気に解放。

「ひとつめ。付き合ってもないのに、手を繋ぐな」

彼氏の俺でさえ、手を繋ぐことは滅多ないわけよ。

葵は、人前でイチャつくの嫌いだから。

なのに、彼氏でもないお前が繋ぐな!

冷静に言っているように見せて、心の中では悪態をつく。

「掴んだだけです」

一緒だっつーの!