彼女は予想の斜め上を行く

一番下の段には、飴細工で作られたキラキラと光り輝くガラスの靴が向かって左に。右に何本かの百合の花。

ピエスモンテスタンドという三本の柱で作られたクリアなスタンドを中継地点に挟み。

真ん中の段には、こちらもやはり飴細工で作られた美しく輝くティアラが右に。そして左には、彼女が余程好きらしい百合。

一番上の段には、シュガーペーストで作られたウェディングドレスとタキシードに身を包む花嫁、花婿。

花婿が花嫁の手を取り、幸せそうに微笑み合うという可愛らしい人形だ。

ケーキには全てサイドを一周して、浮き出るような繊細でブリッジを描いたような。エクステンションと呼ばれる白い線模様が描かれている。

作品の隣には二枚の札。

《Happy wedding 金本葵》。

作品名と氏名の書かれた小さなプラカード。

そしてそれとは対照的に、作品を損なわない程度に大きなゴールドの光り輝く札には……。

《大会会長賞》の文字。

この業界に入って一年数ヶ月の俺でも知ってる。

日本中の全てのパティシエが、誰もが憧れる。今大会において、唯一無二にして最も価値と栄誉のある賞。

―――それが《大会会長賞》なんだ。