彼女は予想の斜め上を行く

彩さんは焦れったそうに苛立ったように、俺にチケットを無理矢理押し付けた。

「つわり真っ盛りなら、来なきゃいいのに……」

呆れたような視線をチラリと送りながら呟いた塩原さんの言葉を彩さんは耳ざとくキャッチすると。

「あんただけじゃ頼り無いから、わざわざ来てやったのよ」

負けじと言い返す。

そんな会話をしている内に、あっという間に駅に到着した。

本当は、駅に降り立つその足すらすくむ思いがしたけれど。

訊きたいこともやっぱり山積みなままだけれど。

「ほらっ!とっとと行きなさいよ!」

わざわざ助手席を降り後部座席に廻った彩さんに半ば強引に放り出されるように、駅の北口に降り立った。

「あの…ありがとうございました…」

運転席でハンドルに手を掛けたままの塩原さんと助手席へ素早く戻った彩さんに、腑に落ちないながらお礼を言う。

「まぁ末代まで呪われちゃ叶わないからな……」

何かを思い出したかのように少し険しい顔つきで小さく苦笑いする塩原さんの態度を不思議に思い首を傾げた。