彼女は予想の斜め上を行く

すっかり油断していた葵の表情は、俺の言葉に一瞬にして固まった。

「何が……って?」

そう言った葵の声は動揺を隠しきれず上擦り、両手は膝の上でギュッと拳を作って握りしめられている。

「葵。最近、様子おかしいだろ?」

「そんなことない…」

「嘘つけ。何年付き合ってると思ってるんだよ。葵のことなら、よくわかってるつもりだよ」

優しく諭すように言うと、葵は少し怯みながら答えた。

「……仮にあたしの様子がおかしいからって、長野君は関係ないでしょ?」

「葵と同じで、勇人も最近おかしいんだよ」

「たまたまだよ」と苦笑いする葵に首を横に振った。

「そんなことない。葵と同じ位、俺は勇人のこともわかってるつもりだ」

強い口調と瞳で発せられた俺の言葉に、さすがの葵も押し黙った。

「なぁ、葵…。俺薄々勘づいてたんだけど、お前勇人のこと……」

「やめてよっ!」

次の言葉を察したらしい葵は、声を荒げて遮った。