彼女は予想の斜め上を行く

アパートの前で「着きましたよ」と声を掛ける。

酔っ払いは「ん゛~?」と僅かに目を開け、俺を見た。

「自分で行けますか?」

「ムリ~…」

そう言って再び目を閉じようとするから、俺は少し慌てた。

「寝ないで下さい!鍵どこっすか?」

「……ここぉ~…」

そう言ってバッグのポケットを指差したので、軽い抵抗感を覚えながらも漁ると鍵発見。

「開けますよ?」と聞くと、僅かに首を縦に振ったのを確認して開錠した。

「しっかり歩いて下さい!」と肩を貸し、ベッドまで連れてくと躓いた。

「金本さん。大丈夫っすか?」

声を掛けると「いったぁ~…」と下から声が聞こえた。

………ん?下から?

慌てて見ると、金本さんを押し倒してたことに気付く。

「長野…君…?」

この状況に狼狽える俺を覚醒したであろう金本さんがキョトンとした表情で見つめてきた。