彼女は予想の斜め上を行く

「まだじぇ~んじぇん飲めるし~」

そう言って呂律の回らない酔っ払いは、俺の飲みかけの生ビールに口をつけた。

あっ、間接キスだ……。

今時、中坊でも気にしないようなことにドキマギする俺は相当痛い奴だと思う。

ブッッ

「にがっ!」

金本さんは生ビールを俺の顔に吹き付けてきた。

濡れた俺の顔を見て、「アハハ~。ビショビショだぁ~」と笑う。

「目、痛い……」と呟きながら、おしぼりで顔をふく俺を心配するような素振りはゼロ。

それどころか、「優勝した時のビールかけみたいじゃね!?」と言って喜んでるし……。

「なんなら採用祝いにビールかけやっとく~?」

その言葉に、「丁重にお断りします」と即答する。

「チェッ。つまんないのぉ~」

質の悪い酔っ払いは、ふて腐れて頬を膨らませた。

そうかと思えば、急に目を輝かせて「ビールかけと言えばさぁ~」と語りだした。