彼女は予想の斜め上を行く

もちろん金本さんを誘いたいからだ。

チャラい美容師は、ご丁寧に予約までしてくれた。

今思い返すと、あの時の奴の表情は悪巧みしてる時の顔だった。

そもそも遼生が、見慣れない親切+気遣いをしてくる時点で気付くべきだった…。



二人きりになるのは、初めてじゃない。

でもアルコールが入って肩が触れる距離というのは、俺にはまだハードルが高い気がする。

好きで。

近くにいたくて。

触れたくて。

欲しくて堪らないのに。

いざ好機が訪れるとビビるのは、俺が正真正銘のヘタレだからだと思う。



「座らないの?」

我に帰ると惚れた女は既に長椅子に座り、メニューを手に取りこちらを見ていた。