彼女は予想の斜め上を行く

勘違いじゃなくて、本当に俺の彼女になって欲しい。

つーか、そもそもちゃんと俺の気持ち伝えてない。

いや、まぁどさくさに紛れてなら伝えたが…。

その上言わなくてもバレちゃってるという悲しい事実付きだが…。

あれは本望じゃない。

だから。

ここは、しっかり俺の気持ち伝えておきたい。

現状を打破出来るかどうかはまた別として、言葉にするというのは大事だと思う。

そう決めていたのに……。

勘違いさせないように。

伝えさせないように。

あの男が、立っていた。



「あっ…」

改札口をくぐると、嫌味なほどにイイ男が壁にもたれ携帯を見つめていた。

「おかえり。葵」

金本さんの声で俺達に気付き、顔を上げ柔らかな笑みを浮かべる。

「なんでいるのよ…」

さすがの金本さんも先輩に気付かれる前に俺と繋いでいた手をパッと離した。