Your Song〜記憶のカケラ〜





それは物体ではなく、小柄な少女だった


緩いウェーブのかかった肩ぐらいまでの髪と、猫のような大きな瞳は、アクセルと同じ色をしている



少女はやっとハイドの存在に気づいた



「うわっ


あ、アクセルっ!
すんごい美人さんが立ってるっ!」



キレー、などと言いながらハイドの顔を見つめている



「ハイド、こいつがさっき言ってた俺の幼なじみのアニル・クレン

こう見えて俺と同い年」


「ちょっと!

こう見えてって何さっ」


「そのまんまだろ?


んで、こいつがゼノア・ハイドだ

まぁ、いろいろあって一緒に街にきたんだ」


「男だったのっ!?


あらー」


ハイドの手が剣にかかる


「うわー!

ハイド、落ち着けっ

悪気はないっ」


アクセルが焦っていることを気にもせず、クレンが言う



「立ち話もなんだから早く家入ろっ」



クレンのあとに続き、2人も家に入る


生活感が感じられる部屋ではあるが、どこか寂しさを感じた



「ハイド、ごめんね


今お茶も何にもないんだ」

ハイドが思い出したように返す


「食料、ないんだったな…


今、腹へってないか?」


「あ、知ってるんだね…


空いてないっていったら嘘になるけど…
平気っ!」


クレンがアクセルと同じ笑顔で笑う


それを見たハイドも口元に少しだけ笑みが浮かんでいる



「…台所、借りてもいいか?」


「構わないけど…」



ハイドはリュックを持って、奥に見える台所へ向かった