街に入り、歩いているとふと、違和感に気付く


『血の臭いが全くしない…。

しかも、建物や地面が綺麗過ぎる

街の人の抵抗の後が全然見えない…』


ハイドは斜め前を歩くアクセルを見る



街を見つめながら歩く彼の横顔は、切なさと、



憎しみ





「なぁ…」


ハイドは問いかける


「お前もこの街がおかしいことに気づいてんだろ?


ここで…何があった?

…お前の憎しみは、誰に向いてる?」


アクセルは一瞬驚いたような顔をする

「お前と会ってから驚いてばっかだな


……さっきの話、ちょっとだけ違うんだ

残ってたのは“外傷のない”街の人、そして


金髪の男の後ろ姿

そいつはすぐに姿を消した
まるで“魔法”でも使ったみたいにな」



その瞬間、ハイドの表情が変わる


「街の状況とその男のことをもっと詳しく教えろっ!!」


ハイドはアクセルにつかみ掛かる


「お、おい

いきなりどうしたんだよ


詳しく話すのはかまわねぇけどよ

もう着いちまったからあとででいいか?」


アクセルは前にある家を指差す


「あっ…
悪い…

取り乱した


まずはお前の幼なじみ、だな…」


ハイドは自嘲を含んだ声で言った


…言い終えたと同時にすさまじい勢いでドアが開き


「アクセルーーーーーーっ!!」



紅くて小さな物体がアクセルに突進した


「うぉわっ」


あまりの勢いにアクセルが後ろへ倒れる



「遅いよっ!


何やってたのっ!」