ほんの数分後、クルーニーは街の前へと降り立った
「とうちゃーくっ!」
そう言って、アクセルはクルーニーから飛び降りる
それに続き、ハイドも降り立った
「ようこそ
ここが俺達の故郷、『焔の街』だ」
ハイドの目の前には数十件の家が立ち並ぶ小さな街があった
しかし、そこに人姿は見えない
「焔…?
焔属性のドラゴンがいるから焔の街?」
アクセルがチッチッチッっと顔の前で指を振って見せる
「焔属性のドラゴンがいるからじゃない
焔属性のドラゴンを“操れる種族”がいるから、だ」
ハイドは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに無表情に戻り、ぽつりと呟いた
「焔族の街…」
今度はアクセルが驚いた顔をする
「お前、マジで何者…?
焔族は存在すら知られてねぇはずだぞ…」
「俺はただの人間さ
それより、お前の幼なじみが腹空かせて待ってんじゃないのか?」
「あっ…
完璧食料のこと忘れてたーっ!
やべぇ…どうしよ…」
話を反らされたことに少しも気づかないアクセルは頭を抱え、しゃがみ込んだ
「食料くらい俺が何とかしてやる
案内しろ」
「えっ!
マジでっ!?
ハイド大好き☆」
「うるさい。キモい。
早くしろ」
そう言って、街の入り口へ歩き始めてしまった
「おぅっ!」
“俺は人間だ”
そう言った時のハイドの切なげな表情に気付くものなど
誰もいなかった