「飯島おはよう。」
「吉木先生おはようございます。」
この一言がうれしいなんて思うのは
私だけじゃない事などわかっている。
「よっし~!テストの答え教えてよ~!」
「よっしー先生な!先生つけろ~!」
「じゃあよっし~センセ!今日デートしよ?」
「あぁ!ずるい!うちもデートするぅ!」
「よっし~!カラオケ行こーよー!
「バーカ、仮にも先生だぞ?寄り道を一緒にする
先生がどこにいるんだって!」
「ぶぅ~!よっし~のり悪っ!」
「じゃあ今度連れてってねぇ!よっし~センセ!」
あんな風にしゃべることもできなければ
どこかに誘うなんて絶対にできない。
よくいえばおとなしい。
悪く言えば地味。
そんな人、それが私。
「え~っと今日の放課後先生の手伝いしてくれる人~。」
「手伝い~?」
「うえぇ~俺絶対やだぁ~。」
「私等高校生だよぉ?今どき放課後あいてる人いるわけないじゃあん!」
いえ、ここに約一名います。
「あ、あの・・・私やりましょうか?」
どうせ荷物運びとか書類運び。
中学校で慣れている。
「よし。じゃあ飯島よろしくなぁ~。」
「はい・・・。」
―パチン、パチン―
手伝いとはホチキスで書類をまとめることだった。
でも私はそれ以前に・・・
「ん?飯島?お前・・・熱でもあるのか?顔赤いぞ?」
「あ、大丈夫・・・です。」
「そうか。しんどかったら言えよ。」
しんどいです。
「先生を好きでいるのがしんどいです・・・。」