「エーテル……!」
マイは、5秒もかからぬうちに横たわるエーテルを見つけた。
エーテルの肌は青紫に染まり、唇も血の気を失っていた。
彼女の口元で渇きかけた血液が、痛ましさを増幅している。
ディレットによる氷魔術は、秒刻みでエーテルの心臓を凍らせていく。
それに気がついたマイは、エーテルの体に刺さった氷を溶かすために炎系の治癒魔法を繰り出そうとしたが、フェルトがそれを止めた。
「いけません……!
いま炎魔法を使用すれば、エーテルさんの体内で氷が溶けて体内に水蒸気がたまります。
エーテルさんの魔術属性は、炎と闇。
ゆえに、水蒸気や水には非常に弱い体質なのです」
淡々と暗い瞳で説明するフェルトに、マイは焦りを覚えた。
「じゃあ、どうすればいいんですか!?
このまま放っておいたら、エーテルは……!」
「マイさんは魔法薬を作れますよね。
《再生の雫》という名の薬を持っていませんか?
それがあれば、多少時間はかかりますが、エーテルさんの傷を治せます」
「さいせいの、しずく……」


