黒水晶


ヴォルグレイトは、その場の皆の反応を全く気にしていない様に高笑いした。

「父さん、エーテルの言っている事は本当なのですか!?

あなたは、ケビン国王とセレス王妃を……」

イサはヴォルグレイトに詰め寄る。

「ああ、そうだ。

エーテル様の言う通り、私はケビンとセレスをこの城の地下に住まわせていた」

「住まわせる……?」

イサは片眉を動かした。

ヴォルグレイトは、善行を積んだ善人のような口ぶりで、

「そうだ。『監禁した』などと決めつけられるのは悲しいものだな。

ケビンとセレスにはちゃんとした部屋を与えていたし、衣食住、何不自由ない暮らしをさせていたのだからな。

暴力を振るった覚えもない」

「そんな生活を強要したことが問題なんです!

あなたが妖術を使って両親を操っていたということは、もう分かっています!」

エーテルは厳しいまなざしでヴォルグレイトを見た。

「ヴォルグレイト様。

もう、あなたの好きにはさせません」

「そうだろうな。私にもそれくらいのことは分かる。

エーテル様、あなたがここにいるのだから……。


だが、一足遅かったですね。

もう目的は果たした。

禁断魔術の使い手など、もう、必要ない」

「なんですって?」

警戒し、エーテルは一歩後ろに下がる。