闇色の雰囲気に霞(かす)むヴォルグレイトの口元を見て、エーテルは告げた。
「ヴォルグレイト様は、私の両親を……。
ケビン国王とセレス王妃を、ここガーデット城の地下牢に監禁していた。
ケビンとセレスの両者に、ルーンティア共和国に代々伝わる禁断魔術を使わせ、自然の神達の能力を衰退させるために……!」
「!!」
衝撃的な発言。
マイ達だけでなく、イサも、ショックで固まってしまう。
その事実を気丈に受け止めたテグレンは、恐る恐る口を開いた。
「エーテル、それは本当かい?
なぜ、ヴォルグレイト様はそんなことを……?
自然の神は、魔法使いと人間の違いを見て差別したりしないし、私達みんなに対して平等に恵を与えてくれる大切な存在じゃないか……!」
「だから、よ。
ヴォルグレイト様は自然の神の能力を自分の剣の中に吸収した。
魔法使いの完全滅亡を目論(もくろ)むだけでなく、亡くなったルナ王妃を蘇らせるために暗躍(あんやく)していた」
エーテルは無表情ながらも冷ややかな目で、ヴォルグレイトを見やった。
人生経験豊富で、たいていの物事に免疫のあるテグレンでさえ両手足を震わせ、青ざめている。


