イサの頬には、涙が伝っている。
「イサ……!?」
リンネをはじめ、テグレンも驚き、
「おやおや。そんなに泣かせるような話をしちゃったかい?
すまないねぇ……。
歳をとってから、どうも、過去を振り返ることが多くなっちゃってね。
さ、泣きやみな?
リンネとマイがビックリしてるだろう?」
「うん、驚いたよ。
イサ、どうしたの?
泣いてるなんて、珍しいね」
マイもイサに駆け寄る。
イサはもう、自分の中に感情を隠しておくことができなくなってしまった。
現状を我慢し、解決に導こう。
マイとテグレンには、話せないことだ。
決して、話してはいけない。
そう思っていたのに、何度も自分に言い聞かせるたび、イサの精神は崩壊に近づき、心の底で悲鳴をあげていたのである。


