マイとリンネは、どこからどう見ても双子の姉妹。
本人達は、自分達の血のつながりに気付いていないだろうが、血縁関係にある。
ルミフォンドやリンネと過ごした11年前の穏やかな日々を思い出し、イサは両腕を震わせていた。
自分に似ている少女の登場。
リンネを前に、マイは複雑な気持ちにかられていたが、気分を変えるべく席を立ち、部屋の角にあるチェストに近付いた。
チェストの上には、写真立てが置いてある。
「旅立ちの日に話してたテグレンの娘って、この人のこと?」
テグレンは目を細め、チェストの写真立てを見た。
「ああ、そうだよ。
私に似て、美人だろう?
はっはっはっ」
娘の家出をふっ切るように、明るく振る舞うテグレン。
そんな彼女を見て、マイは知った。
写真が、テグレンの宝物であることを。


