黒水晶


それに、この城に帰ってきた時点で、マイ護衛の任務は終了した。

そうなった今、エーテルとイサは、他国の人間同士。

親しい幼なじみとはいえ、私情で頼み事をするわけにはいかなかった。


イサが考えを巡らせている間に、四人はテグレンの部屋に着いた。

リンネが執事を呼びつけ、人数分のケーキと紅茶を持ってくるよう頼んでいた。


正直、イサはそんな気分ではなかったのだが、マイの沈んだ表情が気になり、三人のティータイムに付き合うことにした。


丸テーブルの周りに並べられたイス。

リンネとマイは隣り合わせに座った。

彼女達の間にぎこちなさはあるものの、正面からそれを見ていたイサは、涙が出るのを必死におさえた。

“二人が顔を合わせていることには驚いたけど。

やっぱり、双子だなぁ……。

昔はよく、二人と一緒に遊んだよな……”