黒水晶


イサに寄り添うリンネを見て、マイは胸の痛みを覚えた。

“リンネとイサって、なんだか似合ってるな……。

リンネは私と同じ様な顔をしてるけど、

私と違って、まさに絵に描いたようなお姫様って感じで……。


イサも、リンネに対しては親身っぽいし。

私との間にはない、親しげな雰囲気というか、切れない絆、みたいなのを感じるっていうか…………”

テグレンはマイの気持ちを察し、イサに話しかけた。

「今、そのお嬢さんと話をしてたんだよ。

マイが取った木の実の話で、盛り上がってさ。

イサも、公務が終わったのなら、私の部屋でゆっくりお茶でもしないかい?

マイとリンネも一緒にさ」

テグレンらしい、ほがらかな微笑み。

リンネは瞳を輝かせ、

「いいですね!

執事に、おいしいケーキを持ってこさせましょう」

「そうだね、木の実取りでお腹すいちゃったよ」

マイは、戸惑いながらもノリ良く賛成する。

とても穏やかな気分になれそうにないイサも、断れない雰囲気となってしまった。