そんな風に、才能ゆえ多忙な日々を送っていたエーテルも、イサやルミフォンド、リンネの幼なじみ。
忙しいスケジュールの合間をぬって、彼らと遊んだりしていた。
彼女が今日、ガーデット城に訪れたのは、差し入れを持ってヴォルグレイトに会うためだった。
これも、次期王位継承者としての修業であり、国同士の友好を保つ手段のひとつ。
エーテルの両親。
ルーンティア共和国のケビン国王とセレス王妃。
二者は、ルナの葬儀以来食が細くなってしまったヴォルグレイトを気遣い、時々こうして食べ物の差し入れをしていた。
この日はたまたま、両親が外交に出ていたため、エーテルが差し入れを持ってヴォルグレイトに会おうとしていた……。
扉をノックしようとした時、彼女は、ヴォルグレイトとカーティスの秘密の会話を耳にしてしまった。
カーティスの気配が廊下に近付いたのと同時に、エーテルは魔術で瞬間移動をする。
“とにかく、ルミフォンドとリンネを安全な場所に匿(かくま)わないと……!”
優秀で才能溢れる魔術師とはいえ、まだ幼かったエーテルの魔術では、少女二人を同時に匿(かくま)うのは無理だった。
なので、もっともヴォルグレイトに狙われている魔法使いのルミフォンドから先に、安全な場所へ移動させることにした。


