黒水晶


「なに? 『つらいのは皆、同じ』だと……?

……はっ。もう、わかってもらおうなどとは思わん。

お前に語っても時間の無駄に終わったな。

今の言葉は聞き流してやる。

私は、この国を動かす力を持っているのだ。

小さなことは気にしない」

「ヴォルグレイト様……」

「親を亡くした子供だろう?

ルミフォンドとリンネをどう扱おうと、私の自由。


それにな、カーティス……。

今後私と話をする時は、言葉に気をつけることだ」

「はい……。申し訳ありませんでした」


“今は、何を言っても、届かない……”

カーティスは口をつぐむとヴォルグレイトに一礼し、その場を後にした……。


二人の会話を、最初から最後まで聞いていた者がいる。

ルーンティア共和国国王の一人娘、エーテルだ。

“ヴォルグレイト様が禁断剣術を用いて、アスタリウス王国とトルコ国を……!

ルミフォンドとリンネが危ない!!”


当時、エーテルは7歳。

この頃彼女は、すでに魔術師として自国のために力を行使していた。

同い年の魔術師達と比べても、ずば抜けた能力を持っている。

平均レベルを大幅に超えていた。