王室に代々伝わる禁断剣術は数多く存在する。
今回、二つの国を滅ぼすため、ヴォルグレイトが使ったのは、《剣術師を自在に操作できる》というもの。
アスタリウス王国とトルコ国を襲った、鎧をかぶった謎の軍勢……。
それらの正体は、ガーデット帝国の兵士達だったのだ。
兵士志願者は、最初必ず、ガーデット流の剣術指南を受け、剣術師になる訓練を受けてから兵士になる。
彼らはヴォルグレイトの意のまま妖術で操られ、普段とは違う鎧を身につけさせられ、魔法使い達を襲った。
その時の記憶は、妖術によって消し去られている。
ゆえに兵士達は、まさか自分達の手で二つの国を滅亡させたとは夢にも思わず、日々の任務をまっとうしていた。
両足を震わせつつ、カーティスは訴えた。
「ヴォルグレイト様、本当のあなたを思い出して下さい。
あなたは、レイナス様の娘を……ルミフォンド様とリンネ様のことを、殺さなかったではありませんか!
あなたは、魔法使いを憎んでいるんじゃない……。
本当のあなたは、そんな人じゃない……!」
ヴォルグレイトは、蔑(さげす)むような視線をカーティスに向け、
「あの双子か。
あれは、殺さなかったんじゃない。
殺せなかっただけだ。
彼女達は、イサと一緒にいた……。
完全に計算ミスだ。
イサがこの城にいるのを確認してから、アスタリウスを襲うべきだったな。
我ながら早まったことをしたと後悔している……」
アスタリウスに送られた兵士達は、妖術によって行動パターンをプログラムされていた。
魔法使いだけを殺すように、と。


