黒水晶


カーティスは、震える唇をやっとの思いで動かした。

「本当に、ヴォルグレイト様が二つの国を滅ぼしたのだとすれば、ひとつ訊(き)きたいことがあります……」

「………………」

「トルコ国には、魔術師の死体が残されていました。

なぜ、アスタリウス王国の…魔法使いの死体だけ、なくなっていたのですか?」

「……簡単なことだ。

魔法使いの死体には禁断剣術を用いて、骨だけ残るように肉体を蒸発させた。

魔法使いの骨はいろいろ使い道があると、古い時代の書物に記されていた。

魔術師なんてしょせん人間。

死体には何の価値もないから、放置したまでだ」


変わり果てたヴォルグレイトの精神が恐ろしくて、カーティスは背筋を凍らせた。


「お話はわかりました……。

魔法使いの骨を、何に利用されるおつもりなんですか?」

「ふふふ。ガーデット帝国を繁栄させるために使うのだ。

もう、弱小国家などと言わせてなるものか……。

これまでガーデット帝国を苦しめた敵国共を、全て滅ぼしてみせる」

「ヴォルグレイト様……!!

魔法使いの骨を使用したことが明らかになれば、今の時代、重罪に処せられます!!

国繁栄どころではありません、倫理にも反します!

血の通った人間のすることではありません!」

「何を言っている……。

古代には、まかり通ったやり方ではないか。

弱い人間は、魔法使いが生まれ持った無限大の能力を求め、魔女狩りの歴史を繰り返してきたのだからな……」