黒水晶


ヴォルグレイトは、乱暴な手つきでカーティスを薙(な)ぎ払った。

「黙れ!! お前に私の何がわかる!!

身内を見殺しにされたことのないお前に、この恨みと悔しさ、わかるまい!!」

「その通りかもしれません、ですが……!!

あなたまでそんなことをしたら!

ルナ様も悲しみますよ……。

そのようなことは、もう二度としないで下さい!

お願いいたします……。

ヴォルグレイト様は、お優しい方です……。

今後もそのようにご自身の品性や誇りを汚(けが)すようなことをするのであれば、この私、カーティスが許しません!!」

「……カーティス。

お前、剣術師範だからってのぼせ上がるのもたいがいにしておくんだな。

いつの間にそんなに偉くなった?

しょせんお前に剣術を仕込まれた身なのだ、という目で、私の実力をバカにしているのか?

……お前の身など、あの禁断剣術を用いればすぐさま抹殺できるのだからな」

ヴォルグレイトは、瞳に涙を浮かべて青ざめるカーティスに、全てを話した。

ルナの病が悪化しはじめた頃、彼女の病を治す魔法薬の製造を、レイナスに依頼したこと。

葬儀の日にレイナスに言われた言葉。

「あいつは…レイナスは……。

ルナの命を、彼女が生きたことを、冷ややかな顔で侮辱したんだ!!

だから私が、直接天罰を下してやったまでだ!!」


ヴォルグレイトのやり方には納得できなかったが、カーティスは彼に深く同情したのだった……。