――…数日後。
ヴォルグレイトの悲願(ひがん)は叶わず、ルナはベッドの中で静かに息を引きとった…………。
ルナが生を手放すまでの数日間。
ヴォルグレイトは公務や戦を放棄して、ルナの様子を見守り続けていた。
“私が目を離したすきに、ルナに何かがあったら……!”
そう思うと一睡もできなかったし、ルナのそばを離れる気になどなれなかった。
ヴォルグレイトは、この日初めて、剣術を身につけていて良かったと思った。
鍛えられている分、普通の人間より睡眠不足をつらく感じないから。
“一秒でも長く、ルナのそばにいたい……”
一睡もせずに過ごして、7日目。
ヴォルグレイトは、いつの間にか睡魔に襲われ、座っていたベッド脇のイスから転げ落ち、床で眠ってしまっていた。
何時間眠ったのだろう。
ルナに付きっ切りになって以来、日付の感覚がない。
寝起きでボンヤリした頭を一瞬で目の前の現実に引き戻すと同時に床から勢い良く体を起こし、飛びつくようにルナのベッドをのぞいた。
「ルナ……!!」
恐れていた時が、ついにやってきた。
ルナの体はまだあたたかかったが、もう息をしていない……。
ヴォルグレイトが目を覚ます少し前に、命を終わらせたのだ。
「ウソだろう……!?」


