イサはヴォルグレイトに尋ねた。

「このパーティーに、ケビン様とセレス様は参加されていないのですか?

さきほどから姿を見ませんが……」

ルーンティア共和国の国王ケビンと、王妃セレス。

エーテルの両親である二人がこの会場にいないことが、イサにとって気がかりだった。

エーテルはそのことを全く気にしていないように街人達と会話しているが、イサは気になって仕方がなかった。

なぜなら、こういう大規模のパーティーに参加するのは、交友関係にある国同士のマナーだからだ。

ヴォルグレイトは元から冷静な表情に冷ややかなまなざしを浮かべ、

「……そのようだな。

ケビン様やセレス様には、出来れば参加してもらいたかったのだが……。

まあ、仕方あるまい。

よほどの事情があるのだろう。

このパーティーを欠席するという旨(むね)は、彼らの口からこちらにも伝わっている。

問題はない」

イサは戸惑うように瞳を揺らし、玉座に戻るヴォルグレイトの背中を見送った。

カーティスの方を見ると、マイと親しげに話しているのがわかる。

二人の様子に、イサは思わず頬を緩めるたが、すぐさま真顔になった。

“俺達が城に戻る前、国王の目を盗むように通信してきたのは、間違いなくカーティスだよな?

カーティスはなぜ、ここに帰ってくるなと言ったんだ?

国王は…父さんは、俺に何かを隠してるのか?”

イサは、カーティスと二人でゆっくり話がしたいと思っていた。

パーティーを楽しむフリをしていても、気は紛れない。

フェルトやローアックスに言われた言葉が、嫌な感じでイサの頭に広がり続けている。