国王ヴォルグレイトの指示のもと、イサはマイ達を連れて、城内中央に位置する謁見(えっけん)の間へ向かった。

通路の両脇には、等間隔でいくつかの部屋があった。

通路の突き当たりには、大きな扉が厳(おごそ)かに存在していた。謁見の間に続く扉である。

扉の両脇には二人の兵士が立っており、彼らはイサ達を見つけると姿勢を正して敬礼した。

「イサ様。今回の任務、お疲れ様でした。

中で、国王様とカーティス様がお待ちしております。

どうぞ中へ」

「ああ」

イサは静かにうなずき返す。

兵士二人によって、謁見の間の出入口の鉄製扉が開かれた。

グギギギギ…と、重々しい金属音が響く。

この城へ足を踏み入れてから、マイはドキドキしっぱなしだった。

反面、イサとエーテルはこの光景に慣れ切っているようで、静かな足止りで中に入っていく。


謁見の間に入ると、出入口から100メートルほど先に壇上(だんじょう)があった。

壇上には玉座が二つあり、そのうちの一つに国王ヴォルグレイトが腰をおろしていた。

彼の足元には、たくましい肉体をした初老の男性·カーティスがひかえており、肩ヒザをつく体勢でイサ達に視線を向ける。

謁見の間の両端には、壁一面を埋めつくすように人間がズラリと並んでいた。

主に兵士ばかりだが、家臣も混ざっている。

みんなイサの帰還を心待ちにしていたようで、生き生きした瞳でイサ達を見つめていた。